子宮腔内授精(IUI)と呼ばれる不妊治療法では、精子は洗浄・濃縮され、直接女性の子宮に注入されます。IUIを行う症状としては、子宮頸管粘液異常、精子数の減少、精子の動きの低下、精液の粘り気の増加、抗精子抗体の存在や原因不明の不妊があります。通常、性交の際には精子全体のごく一部のみが子宮頸管を通過し、子宮に至ります。IUIは受精の起こる場所である卵管に至る精子数を増やします。
IUIの手順
IUIは出来る限り排卵に近い時期に行います。ですから、患者さまには排卵日予想キットなどを使って生理周期をチェックして頂くか、医師がhCG(性腺刺激ホルモン)によって排卵日をコントロールします。授精は腔内にスペキュラ(検鏡)を配置し、子宮頚部をモニターしながら行います。この点は、子宮頸がんの検査と同様です。ごく小さい滅菌カテーテルに精子を入れ、子宮頚部入口から子宮膣内に挿入します。患者さまの受けている治療のタイプによっては、もう一度精子を頸部に入れることもあります。わずかなけいれんを感じる女性もいるので、タイレノール(鎮痛剤)を施術1時間前に飲んでいただくことも可能です。ごくわずかに感染の可能性(1%未満)があるので、ドキシサイクリンという抗生物質を指示に従って飲んで頂きます。施術の直後にごくわずかに出血をする方もいますが、問題はありません。ただし、施術当日には激しい運動は必ず避けてください。
IUIのための男性側の条件
IUIは、精子が卵管内で卵子と受精卵を作る本来の力があって初めて成功します。研究により、男性側の精子の数が少ない場合や、形の異常がある場合はIUIは効果的でないという事がわかっています。したがって、以下を確認するために精子の検査が必要です。
精子数(1cc当たりの精子の数)
精子運動性(動いている精子の割合)
精子形態(精子の形)
IUIのための女性側の条件
IUIを受けるためには、通常の日に行われた血液検査3回分の結果があり、開いた卵管と異常のない子宮膣があることが必要です。排卵異常がある場合でも、排卵誘発剤に対して適切に反応があればIUIを受けることが出来ます。この場合、ホルモン治療によって卵胞の成長を促進し、排卵が誘発された後のタイミングでIUIを行います。ホルモン治療は、排卵異常のない女性に対してもしばしば行われます。軽い子宮内膜症を持つ女性も、骨盤の異常がなければIUIを受けることが出来ます。卵管がひどく傷ついてしまっている場合や、閉じてしまっている場合はIUIを行うことはできません。
IUIの利点と成功率
ホルモン治療による排卵誘発のもと、IUIの成功率は一周期あたり5-20%です。(女性の年齢、卵子の質によります)この数字は、男性の精子数が通常の範囲内で、女性の卵管が健康であった場合の数字です。
医師は三周期前後にわたってIUIを行い、成功しなかった場合は体外受精(IVF)などのさらに高度な方法をお勧めすることもあります。